油揚げが爆ぜる音

ゆるふわノンフィクションの暴力

新藤晴一詞における『午前5時』というモチーフについて考察してみる

新藤晴一氏の歌詞が好きだ。
もう一度声を大にして言おう。
新藤晴一氏の歌詞が大好きだ!!

先日発売されたNEWシングル『THE DAY』が音楽チャートを賑わせている。
THE DAY

THE DAY


この歌詞の最初に登場する、あるモチーフ。それが『午前5時』である。
静けさがしみ込むようで息を止めた午前5時非常階段で爪を噛む 明日はどっちだ? THE DAY HAS COME
ポルノファンが午前5時と聴いて連想する曲。それは2ndアルバム『foo?』に収録されている『グァバジュース』だろう。
どうにもうまくいきそうでいかない 人影もないひっそり午前5時 頼りないバランスで空まで届くビル 下の方けったらガードマンが飛んできた きっとあれって揺れるんだ…ゼッタイ そしてあっけなくもねふりおとされたのがボク
このポップな失恋ソングも晴一詞なのだが、この午前5時にはどんな意味があるのか?ただの時間的な描写以外になにか意味はあるのか?それについて本気で考え、ジレンマの渦へ呑み込まれて来た。そういう理由のブログ更新である。

結論から言うと(回りくどい表現を好物とするハルイチスト的には不服なのだが)、午前5時は“一日の終わり”的な意味を持つのではないか。
『グァバジュース』では、真夜中に恋人に別れを告げられた主人公が帰路に立ったとき。
『THE DAY』では、今日を生き抜くことに手一杯な主人公が明日を恐れるとき。

“大都会午前25時”と唄った『まほろば○△』のように、晴一詞の深夜は主戦場のような雰囲気を醸し出している。薄い乳色の朝もやが空に架かる明け方こそが、歌詞世界にとっての眠り時なのではないか。(ただしウォーカーを除く)

THE DAYの主人公は、明日を恐れている。明日を占うためのカードさえ風に舞い上がってしまい、不安の中で絡み合う迷宮を抜けようともがく。そこを抜けた先にいる未来の主人公からの声援がこの歌詞である。
PVではメカニカルな球体に二人が触れることで巨大なロボットに展開した。これは間違いなく主人公の『成長』を表しているに違いない。

一日の終わりに爪を研ぐ主人公の姿は、もう来ているのかもしれない。