油揚げが爆ぜる音

ゆるふわノンフィクションの暴力

【忍殺TRPG】ウォーキング・グローリー・ロード【簡易リプレイ】

◆忍殺な◇これは2019年1月2日におこなわれたニンジャスレイヤー公式の簡単なTRPGをもとにしたリプライです。◆サイコロ頼り◇

ニンジャ名:ヒートウォーク
【カラテ】:5
ニューロン】:6
【ワザマエ】:5
【ジツ】:1
【体力】:5
【精神力】:6
【脚力】:3
装備など:カタナ


カトン・ジツ
戦闘用バイオサイバネ

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 重金属酸性雨が降り注ぐツチノコ・ストリート。雑居ビル内に存在するデスシャドウ・ヤクザクランの事務所に、人影は疎らだ。ヒートウォークはPVCレインコートを脱ぎ捨て、事務所データセンター前に辿り着く。彼が踏んだ水溜まりは蒸発し、しとどに濡れたアスファルトを乾燥させた。

 

 玄関前では、一体のクローンヤクザが厳重に警備をしている。標準的なチャカ・ガンではなく、ショットガン装備である。敵は相当儲けているようだ。ヒートウォークはほくそ笑む。

ヒートウォークはアンブッシュめいてスリケンを投擲!「イヤーッ!」「ナンオ……アバーッ!」五発中三発がクローンヤクザの額に突き刺さる。ブルズアイ!酸化して赤く染まる血を流すクローンヤクザを笑いながら跨ぎ、ヒートウォークは悠然と事務所のドアに近づく。

 

 ヒートウォークはドアノブを回し、鍵が掛かっていることを確認する。繋がっている物理錠前を鍵師めいたワザマエで破ると、ドアはすんなりと開いた。初仕事にしては上出来だ。己の才能の賜物だろう。ヒートウォークはモータル自体のろくでもない自己を省み、ニンジャ憑依後に気付いた恐るべき才能の数々と輝かしい未来を想う。

 

 侵入した部屋にはUNIXが並んでいる。ヒートウォークはそこから目的の端末を探すが……「スッゾオラー!」ドス・ダガーを構えたクローンヤクザが突進!テッポダマめいたヤバレカバレの作戦だ!

 ヒートウォークは装備していたカタナを引き抜き、「甘い……イヤーッ!」「グワーッ!」クローンヤクザの手首を切断せしめる!「イヤーッ!」怯むクローンヤクザにカトンを込めた連撃のケリ・キック!「アバーッ!」焼死したクローンヤクザの胸に焼印めいた足跡!ナムアミダブツ!

 

「ハァーッ……やはりクローンヤクザ程度、俺のカラテの糧にもならないなァ」燃え始めるヤクザスーツから財布を抜き取り、万札を一枚拝領すると、ヒートウォークは仕事を再開する。並んでいるUNIXをハッキングし、コケシマートの未公開株を奪い取る。簡単なクエストだ。彼は事前のイメージトレーニング通りに物理キーボードをタイプし、目的のデータを発見した。

 ヒートウォークは逡巡する。現在の彼はニンジャソウルが憑依したばかりのソウカイヤ末端ニンジャであり、上層部からは他のサンシタと同様に扱われている。プライドの高い彼にとって、それは屈辱的な仕打ちだった。自分の実力があれば、欠員の出たシックスゲイツの後釜に据えられることも将来的には造作もないはずなのだ。この状況からのし上がるためには、期待以上の働きをすればいい!

 

 とっさの方針転換にも関わらず、ヤクザクランの銀行口座はすぐに見つかった。ZBRによる集中力のブーストなど必要ない。ヒートウォークはニューロンを加速させながら、高速二本指タイプを繰り返す。ブーブーブーブー!UNIXは警告音を放ち、毒矢を発射!「グワーッ!」不意を突かれたヒートウォークの胸に突き刺さる!

「ナメやがって、俺はニンジャだぞ……」体の痺れになんとか耐えながら、ヒートウォークは悪態を吐いた。この程度の麻痺毒は、イメージの中の自分なら平気なのだ。彼は震える手をなんとか動かしながら、ハッキングを再開しようとした。その時である!

 騒ぎを聞きつけたか、表通りでネオサイタマ市警武装パトカーのサイレンが響く。ニンジャ憑依前のモータルとしての本能か、ヒートウォークは体を硬直させた。ここが潮時のようだ。彼は再挑戦を誓い、ふらつく足をただ動かしてアジトへ逃げ帰った。

 

◆創◆

ニンジャ名鑑#001

【ヒートウォーク】

カトン・ジツによって脚部から高熱を放つニンジャ。ニュービーでありながら尊大な性格で、自信過剰な面が目立つ。アスファルトに焼印を刻むほどの火力で繰り出されるケリ・キックは驚異。

◆作◆