油揚げが爆ぜる音

ゆるふわノンフィクションの暴力

或いはびっくり箱のように-ポルノグラフィティ『BUTTERFLY EFFECT』感想

10月25日に発売されたポルノのNEWアルバムがヤバい。普段はCDレンタルかダウンロードで済ます僕が、発売日に円盤を衝動買いしてしまった。

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総評としては、いろんな意味でポルノっぽくないなぁ、と思った。

前作『RHINOCEROS』がハイカロリーでアップテンポな曲やラテン調の曲が多い『表ポルノ』だとすると、このアルバムは『裏ポルノ』。キャッチーなシングル5曲で門戸を広く取り、中は中毒性の高い曲を詰めた蟻地獄。ポルノの魅力である『曲のレパートリーの多さ』をフルに活かしたびっくり箱のようなアルバムだった。これ好き嫌い分かれるだろうなー!!

というわけで、全曲感想です。

 

1.THE DAY

開幕から殺しにかかってくる。

ご存知ヒロアカのOP曲。タイアップ元関連のワードをなるべく使わずに、作品の雰囲気や主人公の心情を歌詞に残せる晴一先生の技術力が光る。

Cメロ〜ラスサビ間の「荒々しいキーボード〜無音〜ギターソロ」が好きすぎて狂う。

 
2.Working men blues

ゴリゴリのロックに乗せた労働讃歌

好きだよ? 好きだけど、初聴時の「長渕剛っぽいなぁ」っていう印象が未だに抜けない、そんな曲。これをリード曲に持ってきたか……

たぶん働いてる人が聴くとすごい刺さると思う。星球と一緒にどうぞ。

 

3.君の愛読書がケルアックだった件

THE・爽やかポップ。音全体がキラキラしてる。

しまなみTVで初めてタイトル見た時の「正気か?」感を見事に覆してくれました。晴一先生、それキラキラ映画というよりラノベ……

ケルアック、読んでみようかなぁ。

 

4.I believe

スケールのデカいバラード。昭仁さん、最近バラード書くの多くないですか?

夜の湖畔に揺蕩う一艘の舟みたいな、子守唄みたいな、そんな曲。たぶん子どもに書いたメッセージなんだろうな……。

 

5.LiAR

ポルノ的なラテンサウンドを追求したらこうなった、って感じの曲。ジョバイロ意識したっぽいよね。

「赤い血」「金の花粉」「白い仮面」みたいな強い色彩の歌詞が鮮やか。

 

6.Fade away

最近少なかった昭仁さん作のダークな曲。情報社会とか炎上を皮肉ったってCDTVで言ってた。

「不感症の街」っていうキラーワードがヤバい。なぜこれをシングルで出さなかった。

 

7.クリスマスのHide&Seek

『Hard Days, Holy Night』以来、二曲目のクリスマス・ソング。ふわふわした感覚とわずかな寂しさが混ざった爽やかポップでした。

曲の雰囲気がロマエゴの頃っぽいのはなんなんだろうな……? すごい好きです。

 

8.MICROWAVE

とんでもない飛び道具が来たで……!

このアルバム屈指のダークホースにしてキラーチューン。都会的でダンサブルな曲調にサイケデリックでリズミカルなアレンジを加えるとこうなるんだなぁ、っていう今までのポルノになかった曲。アレンジの妙が光る。

この曲で一本小説書けるくらい歌詞のイメージ喚起力が高いんだけど、歌詞そのものは英詞と短い単語を多用したリズミカルな感じ。

「凍えたピザ」「乾いたハム」「涙」「古い記憶」「純情のようなもの」これだけで暗くて狭いキッチンに立つ独り身の男がイメージできるのは強い。絶対こいつはTV付けっぱなしにしてソファで寝てる。

 

9.夜間飛行

歌詞で殺しに来た。峠道を走る夜のドライブデートをイメージしてしまう、そんな曲。

女性目線の曲だけど二人称が「君」なんで一瞬百合かと思った。年下の相手だけど彼氏の方がイニシアチブ取ってるんだろうなぁ……

「私好みじゃないパフューム」の晴一節がたまらない。

 

10.真っ白な灰になるまで、燃やしつくせ

タイトルが文。

歌詞を詰め込めるだけ詰め込んだハイテンポ・ロック。ポルノ史上最速にして最難。カラオケで歌わせる気ないし本人もなるべく歌いたくなさそう。

 

11.170828-29

国際情勢とかミサイル問題を皮肉ったポップロック

しまなみTVとかカフェイレでミサイル問題についての歌詞って聞いた時から、『敵はどこだ?』とか『twilight,トワイライト』みたいなヘビーな感じかと思ったら全然違った。ピースピース。

どちらかと言うと『やがて哀しきロックンロール』みたいな曲調で、かなり好きな感じ。このアルバムのヘビロテ候補。ピースピース。

 

12.Montage

オシャレ。サビの抜けるような「モンタージュ……」が超好き。

キング&クイーンに話題かっさらわれたけどかなり好き。もうちょい歌番組で披露してほしかった。

 

13.スパイス

カントリー調の落ち着く曲。

『約束の朝』とか『曖昧なひとたち』とかの日常系の曲で、昼下がりに紅茶片手に聴きたい感じ。

「チョコミント」って語感がすごいハマってる。

 

14.キング&クイーン

メジャートーンの爽やか応援ソング。

ちょっと歌詞ストレート過ぎません?多分あえてだと思うけど。

それでもすごい耳に残るくらいポップなのが憎い。

 

初回限定盤には台湾ライブの音源CDと、そのドキュメンタリー付きDVDが入ってる。お得。